BANNISTAR FIND NEW PARADIGM IN YOU.

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OUR WORK

株式会社CyberFight

PRO WRESTLING NOAH

実施期間
2021.11 - 2022.12(1年1ヶ月)
インダストリー
スポーツ・エンターテインメント
URL
https://www.noah.co.jp/
サービス
[リサーチ分析] 顧客志向性分析BannistarScan™
[ブランド戦略] ワークショップ/カスタマージャーニーマップ/ブランド価値定義
[デザイン開発] トーン&マナー/ブランドグラフィック/ブランドタグライン/ブランドステートメント/ブランドガイドライン
Background [背景]

サイバーエージェントグループの1社である株式会社CyberFightが抱えるプロレスリング・ノア(以下、NOAH)という団体は、全日本プロレスから受け継がれてきたプロレスの伝統を重んじながらも、旗印である「自由と信念」を投影した闘いを繰り広げる団体です。この日本のプロレス界を牽引する団体から、ブランド強化の依頼がありました。
NOAHはサイバーエージェントグループ傘下となってから、会場演出やSNSでの発信力、クリエイティブの質を向上させてはいましたが、ブランドコミュニケーションの指針に基づいた、一貫したコミュニケーション展開がされていませんでした。また、他団体と同様にファンの年代層が上がり、40代-50代のファンが多数派を占め、30代以下の若年層ファンを十分に獲得できていないことも課題でした。
そのため、昔からプロレスを楽しんできたファンのみならず、若年層からも愛される団体に成長するためのブランド戦略と、お客様に一貫したNOAHの世界を体験してもらうためのクリエイティブ戦略を定める必要がありました。

Challenge [課題点]

「ブランド戦略の不在」 「自由と信念」という旗印や、「今イチバンカッコいいプロレス」というビジョンはありながら、具体的なお客様像や、そのお客様がプロレスに求めていることへの、社内での共通認識が不十分でした。また、NOAHが競合のプロレス団体とはどのように異なるのかという独自性も模索している段階でした。そのため、NOAHのお客様像と、その体験、NOAHに求める思いを明確にした上で、「そのお客様が求めているプロレス」の実現のために日々何を意識して行動すべきかの指針となるブランド戦略の策定が必要でした。またその際には、既存のお客様を失うことなく、新しいお客様を獲得することも求められました。

「クリエイティブ戦略の不在」 ブランドロゴや基本フォントは規定されているものの、ブランドが目指す世界観や、それを表現するためのサポート要素やトーン&マナーなどは策定されていませんでした。そのため、興行やメディアによって個別のクリエイティブが制作されるなど、ブランドロゴにNOAHのアイデンティティを依存していた状態にあり、結果として一貫したNOAHらしさの創出には到達していませんでした。

Solution [解決]

「潜在顧客とその欲求の特定」 昔からプロレスを楽しんでいた層は、現在も一定の割合でNOAHのファンであり続けていましたが、娯楽が多様化する現在においても、プロレスファンになりえる新たな若い顧客層の欲求を特定し、彼らを獲得することが最も重要な課題でした。
まずバニスターが行ったのは、20代のプロレスファンへのインタビュー調査です。リング内外のドラマやレスラーのキャラクターとしての面白さ、レスラーと自身を重ねて楽しむなど、多様な観戦体験でプロレスの魅力を語ってもらい、それらを基に、新しい顧客層が反応するブランドコンセプトの仮説を立てました。そして、その仮説を盛り込んだ定量調査結果から顧客の志向性分析を実施すると、様々なクラスターが出現しました。そうした中で、NOAHのターゲットとして設定したのは、「好きなレスラーを深く探究し、レスラーが紡ぐストーリーや、自分とレスラーを重ね合わせること」を楽しんでいるクラスターです。
また、バニスターも実際にプロレスを観戦して、ターゲットとなる顧客のプロレスとの最初の出会いからプロレスの魅力を周囲に発信するまでのプロセスをカスタマージャーニーマップ(以下、CJM)に落とし込みました。CJMでNOAHとの接点で最も気分が高揚する場面や、ブランド愛着につながる重要な接点を抽出し、それらをクライアントと確認することで、今後やるべきことの優先順位を明確化しました。

「差別化要因の追求と提供価値」 NOAHは発足以来、圧倒的な打撃音と技術力の高さ、そして受け身の華麗さなど、必ずしも華やかではない部分にまでこだわりが感じられる洗練さと力強さが特徴でした。しかし、それだけではファンの拡充は望めません。観戦歴の浅いファンも楽しめるように間口の広さを確保し、試合の時だけでなく試合の前後もレスラーの考えや思いを知ることができるなど、同時にコンテンツとしての奥行きを持つこと、これをNOAHの独自性と定めました。
NOAHがお客様に約束する価値としては、単に一過性の高揚感をつくることだけではなく、「お客様がレスラーの生き様に鼓舞され、レスラーと自身を重ね合わせ、その毎日が前向きに変わっていくことまで」であると定義しました。

ワークショップの様子


カスタマージャーニーマップ

「ブランドの世界観の創造」 「Stream Trek」
バニスターは、提供価値に基づいて、ブランドが目指す世界観を「Stream Trek」と策定しました。「Stream Trek」は、ノアの方舟が幾多の波を越えながら新しい大陸を求めて航海を続けるという神話を、お客様が思いがけない驚きや興奮を体験しながら、プロレスの新天地へと旅していくというストーリーに重ね合わせ描いています。「Steam」はNOAHの目指す新しいプロレスの大きな潮流を表し、「Trek」はお客様と共に体験するその旅路を意味しています。
そして「Stream Trek」のテーマを基に、NOAHが生み出す興奮に満ちたプロレスのうねりを表したダイナミックなブランドグラフィックを開発しました。これにより、今まではブランドロゴだけであったブランドの表現要素がパワーアップされ、さまざまな場面でNOAHの魅力を発信することができるようになりました。

ブランドグラフィック「Stream Trek」
WEB/SNS
リングスカート
ブランドタグライン「Gong your soul」

バニスターはまた、ブランドタグラインとブランドステートメントの開発も行いました。新しいタグラインは「Gong your soul」です。試合の開始に鳴らされるゴングのように、NOAHもまたお客様の背中を押すゴングでありたいという強い思いを込めています。

グッズ
ブランドガイドライン
清宮海斗選手

策定したブランド戦略やクリエイティブの表現などを、ブランドガイドラインという形にまとめました。このブランドガイドラインでは、NOAHの価値を整理する意義や目的、届けるべきお客様、提供価値の定義、持つべき世界観やその表現方法などが書かれており、読み進めていくことで、NOAHのあるべき姿を理解することができます。ブランドガイドラインは、ブランド管理の担当者だけなく、社員やレスラーたちにも共有されています。

Client Voice

NOAHは2000年に三沢光晴氏が立ち上げたプロレス団体です。2020年1月にサイバーエージェントグループへ参画し、ABEMAでの試合中継や日本武道館大会、東京ドーム大会などを経験しました。そして、さらなる団体の発展には、ブランドクオリティの進化が必須と考えました。
ブランディングを通し、創り上げたのは時代を生き抜くための航海図です。
目に見えるクリエイティブの刷新はもちろん、選手・社員の共通した目標設計や、仕事におけるお客様ファーストの心がけなど、より強固で且つしなやかな指針を設定いたしました。
すべては、プロレスを愛する人のため。
向かい風に負けず、時代の潮流にも柔軟に舵をとれるこの舟で、見ている人の魂震わす闘いを全国へ届けます。
伝播した選手の思いが、人々に勇気を与え、明日を生きる力になることを私たちは知っています。
プロレスの力を信じ、これからも一人でも多くの方の人生にゴングを鳴らしてまいります。

株式会社CyberFight プロレスリング・ノア   取締役   武田有弘 様