スペクトラム ブランズ ジャパンの依頼を受け、バニスターは、犬用おやつブランド「DINGO」の商品パッケージデザインを開発しました。
アメリカ生まれの「DINGO」は、ジャーキーやボーンなど愛犬の口内健康を保ち、ご褒美にもなるような、飼い主と愛犬を繋ぐ犬のおやつブランドです。
日本国内では、ほぼ海外商品のパッケージデザインのままで2018年春に上市しましたが、想定していたほど市場で受け入れられず、目標とする売り上げに届くことが難しい状況にありました。
危機を感じたクライアントは、デザインやコピーに若干手を入れる対処療法ではなく、日本市場で力を発揮できるデザインを開発しての完全リローンチを望んでいました。
犬のおやつの売り場で差別化を図るために導入した、リローンチ前のアメリカンポップ調のインパクトの強いパッケージは、カラーブロッキング効果で目立つ良さはあるものの、日本の生活者の「犬のおやつ」概念から離れすぎており、かつ商品名が英語表記であったため、それが何であるかも伝わっていませんでした。
そのため「良質でおいしそうなおやつを愛犬に食べさせたい」「愛犬におやつを楽しんでもらいたい」という飼い主の欲求を充分に満たすことができませんでした。
「わかりやすさの探索」
リローンチ前のパッケージでは、商品ブランド名が単に「DINGO」であり、アイテム名も英文で「Triple Flavor Kebabs」などといった具合に、それが何であるかという商品性が伝わりにくい構造でした。
新製品では「DINGO」ブランドに加え、「カミカミリッチ」というサブブランドを付けて直感的に商品理解を促し、アイテム名を日本語化した上で、さらに図解によりそれぞれの商品特徴をわかりやすく伝えることにしました。
「日本市場で受け入れられる愛らしさの探索」
開発当初のクライアントの要望は、既発で成功をおさめている商品「ミート イン ザ ミドル」のデザインランゲージを使い、姉妹品として位置付けたいというものでした。
しかしながら、アメリカ生まれのそのデザインは、日本市場で理解されやすい愛らしさを表すには充分でなく、飼い主の愛犬に対する愛情を刺激するまでには至っていませんでした。
なので、バニスターは「ミート イン ザ ミドル」のデザインから離れ、市場で愛される新しいデザインアイデアとして、「口を大きく開いたユーモラスなドッグフェイス」という強力なアイコンを創造して、これをパッケージとして市場に投入することを提案しました。
この2つのチャレンジにより、「DINGOカミカミリッチ」は「愛犬との楽しいおやつの時間」を飼い主に提供することができるブランドとしてリローンチされました。
バニスターの細谷様と初めて仕事をさせていただいたのは2010年だったと思います。当時働いていた会社でのパッケージデザインコンペにおいて、バニスター様の提案が群を抜いており、一緒にプロジェクトを行うことになりました。バニスター様自身で調査された深い消費者・生活者の観察から得られたインサイトを、心を揺さぶるクリエイティブでデザインに昇華させる見事な仕事をしていただきました。2019年春に生まれ変わった「DINGOカミカミリッチ」においても、犬おやつ購入者が気づいていないインサイトにもとづき、ユニーク、かつ共感をえるブランドデザインに仕上げていただきました。発売後、ブランドは成長を続け、競争の激しい犬おやつ市場のなかで徐々に消費者の信頼を獲得しています。難しいブランドの案件は、バニスター様にお願いしようと思っています。
スペクトラム ブランズ ジャパン株式会社 代表取締役社長 花野博之 様