御木本製薬のムーンパールは、「光と海の肌美学」をコンセプトに、パールコンキオリンという真珠たんぱく成分を使った総合化粧品ブランドです。訪問販売を主として成長してきた同ブランドが、高価格帯のメインラインに加えて中価格帯のラインを発売するにあたり、バニスターはパッケージデザイン開発の依頼を受けました。
既存の複数のブランドを統合して、新たにムーンパールのラインエクステンションとしてローンチするこの商品群は、旧ブランドの受け皿であると同時に、新規顧客にもアプローチ可能なラインと位置付けられていました。
デザインリニューアルの前提として、ムーンパールブランドであることが分かること、ロゴはメインラインと同じものであること、また容器は既存の形状であること、などが条件となりました。
その制約の中で「光と海の肌美学」を表現し、既存顧客を取りこぼさず、かつ、まだこれまでの御木本薬品のブランドで出会えなかった新しい顧客を獲得するということが、新しいラインのチャレンジでした。
私たちはまず、メインラインのムーンパールが有するアイデンティティ要素を抽出し、その中で今回使用可能な要素を選定しました。
結果としては、共有化できる要素がブランドロゴ以外が弱いことが判明したので、代わりに商品コンセプトの「光と海」をデザインのテーマに設定することにしました。
パッケージデザインは、メインラインに近いオーセンティックなものから、ジェンダーレスでシャープなデザインまで、一旦幅を持って開発しました。
その中で、バニスターはできるだけ余分な要素を排除したクリーンなデザインを指向することにしました。
既存容器を使いながら新規顧客を獲得できる魅力的なルックスを創造するためには、装飾的なデザインを追うよりも現代的な洗練性を追求することが得策と考えたのです。
モチーフとしたのは、ミキモトの真珠の故郷である伊勢の海の深いブルーとその水面の輝きです。
ライン名称も、水に着想を得た「aqssia」となりました。
海を象徴する深いブルーグレーから、水面の光を表すライトグレーへの繊細なグラデーションをマットな質感で表現し、キャップからボディにかけて一体感のあるクリーンなデザインとなっています。「aqssia」のライン名を小文字表記することで、軽やかさを創出しています。
MOONPEARL aqssiaは、年齢や性別を問わずさまざまな方に向けたスキンケアラインとして企画開発しました。今までの当社のパッケージは女性らしく甘い雰囲気のものが多い中、男女問わず使いたくなるような清潔感のあるデザインをバニスター様にご提案頂き、今までにない新しさがありながら、且つ既存のお客様にも違和感なく受け入れられる、さまざまな要素を両立した商品に仕上げることができました。お客様にもご好評をいただいており、当社の新たな一歩として、MOONPEARL aqssiaをこれからも大切に育てていきたいと思っています。
御木本製薬株式会社 第一商品開発部 中村浩子 様
